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EMCA info

 ここでは、私が専門領域としている「エスノメソドロジー」 Ethnomethodology と「会話分析」 Conversation Analysis (「相互行為分析」と言う場合もあります。このほうが、誤解が生じにくいですね)についての情報提供をしていきたいと思っています。日本には、「エスノメソドロジー・会話分析研究会」(EMCA研)があります。この研究会の活動について知りたい方は、さしあたり皆川までご連絡ください。EMCA研では、メーリングリストも設置しています。

■最近の情報(上にあるものほど新しい情報ですが、最新の情報はホームページにあります。)
【06.01.01】
 ガーフィンケルの新著が本当に出ました。ウソではありません。今私の手許にちゃんとあります。アマゾンのページ、いつのまにか「24時間以内に発送」となっていたので、昨日注文してみたら、今日届きました。奥付(というか、先付)を見ると、発行年は2006年になっているけれど、出版社のページでは、November 2005 となっている。どう表記したものかと迷うけど、私が持っている本ということで、2006年。
Harold Garfinkel (2006)
_Seeing Sociologically: The Routine Grounds of Social Action._

 とにかく目次を。
Foreward (The Indexical Properties of Sociological Time) ----------- Charles Lemert ; vii-xiii
Respecifying the Study of Social Order - Garfinkel's Transition from Theoretical Conceptualization to Practices in Detail ----------- Anne Warfield Rawls ; 1-97

Introduction ----------- Harold Garfinkel ; 99-100

Part I : Principal Theoretical Notions

Action ; 101-107
Actor ; 107-117
Role and the Concept of the Finite Province of Meaning ; 117-132
Noesis-Noema Structures ; 132-145
Social Identity ; 145-151
Identity Constancy and Identity Transformation ; 151-179
Communication ; 179-182
Style, Tactics, and Strategies of Communication ; 182-188
Group ; 189-204

Part II : Specific Problems

Statement of Thesis Problems ; 205-216

Notes to Seeing Sociologically

References

Index

About the Author and Editor
 見てわかる通り、アン・ロールズが長い解説を書いています。


[05.10.18]
(終了しました)久々の情報です。まず、「エスノメソドロジー・会話分析研究会」(emca研)研究大会・総会が、次の月曜日に開催されます。日本社会学会の年次大会にくっつけての開催ですね。
エスノメソドロジー・会話分析研究会大会・総会

日時;2005年10月24日(月)9:30-15:00
場所;立教大学 12号館地下会議室 [この地図の15番]
会費;会員 500円  非会員1000円


 会場が、「12号館地下会議室」ってあったから、「え、あんな狭いとこでやるの?」と思ったけど、地下会議室は複数あるんでしたね。

 詳細については、手抜きしちゃって恐縮ですが、酒井さんが作ってくださったページを参照してください。
(終了しました)次、この週末に、法政大学@多摩校舎で開かれる日本社会学会大会でのemca関係報告。
 自分のために、まずは行き方確認。一度行ったことあるけど。
交通アクセス

 わたしの場合は、JR新宿から京王線でめじろ台駅(50分)、バス12分(法政大学行き)、という経路。
キャンパスマップ


 で、emca関係報告だけれど、一日目に集中してます(敬称略)。

第1日(10月22日);一般研究報告(1) 9:30〜12:30

理論(2)
1.「法廷の秩序研究」の意義        東京都立大学 小宮友根
4.「女性の観点と」リアリティのヴァージョン―D・スミスの社会学をめぐって
               立教大学・武蔵大学 上谷香陽
5.文脈依存性と人々の理解可能性についての一考察        東洋大学 佐々木啓
6.エスノメソドロジー―〈新科学論〉の立場からする位置づけ        吉田民人

研究法・調査法
1.会話分析における方法論の批判的解明―言語単位と常識的推論の問題
               北星学園大学 水川喜文


[05.03.09]
●ガーフィンケルの新著が出た模様です。ハードカバー版より先にペーパー版が出るって…、あるか。
Harold Garfinkel (2005)
_Seeing Sociologically : The Routine Ground Of Social Action._
Paradigm Publishers.


 調べてみると、Paradigm Publishers というのは去年スタートした新しい出版社でした。amazon.co.jp には内容紹介がないので、海外版のページから、はりつけちゃいます。
Synopsis
This book - never before published - is eminent sociologist Harold Garfinkel's earliest attempt, while at Harvard in 1948, to bridge the growing gap in American sociology. This gap was generated by a Parsonian paradigm that emphasised a scientific approach to sociological description, one that increasingly distanced itself from social phenomena in the increasingly influential ways studied by phenomenologists. It was Garfinkel's idea that phenomenological description, rendered in more empirical and interactive terms, might remedy shortcomings in the reigning Parsonian view. Garfinkel soon gave up the attempt to repair scientific description, and his focus became increasingly empirical until, in 1954, he famously coined the term "Ethnomethodology." However, in this early manuscript can be seen more clearly than in some of his later work the struggle with a conceptual and positivist rendering of social relations that ultimately informed Garfinkel's position. Here we find the sources of his turn toward ethnomethodology, which would influence subsequent generations of sociologists. Essential reading for all social theory scholars and graduate students and for a wider range of social scientists in anthropology, ethnomethodology, and other fields.
 チャールズ・レマートが序文を書き、アン・ロールズが編集をしているというのは、前著と同じです。

●それからついでに、アン・ロールズのデュルケム再読本もすでに刊行されています。こちらはハードカバー版だけだ。アマゾンのページは、タイトル誤ったまま。【05.04.16:「刊行されている」というのは誤りで、アマゾンのページによると、2005/04/30に発売の模様】
Anne Warfield Rawls (200?)
_Epistemology and Practice: Durkheim's The Elementary Forms of Religious Life._
Cambridge University Press


 内容目次は以下の通り。再読されているのは『宗教生活の原初形態』
Introduction
1. Durkheim's outline of the argument in the introductory chapter
2. Durkheim's dualism: an anti-Kantian, anti-rationalist position
3. Sacred and Profane: the first classification
4. Totemism and the problem of individualism
5. The origin of moral force
6. The primacy of rites in the origin of causality
7. Imitative rites and the category of causality
8. The category of causality
9. Logic, language and science
10. Durkheim's conclusion: logical argument for the categories
Conclusion.


[05.03.09]
(終了しました)研究集会のお知らせです。emca研の春の研究例会。
日時:2005年04月24日(日)午後1時〜5時
場所:成城大学731教室(7号館3階)  ←723教室(7号館2階)に訂正
 成城大学へのアクセスマップURL https://www.seijo.ac.jp/map/index.html
 会場地図URL https://www.seijo.ac.jp/map/campus.html

発表者:上谷香陽(立教大学ほか)
発表タイトル:ドロシー・スミスの社会学の読み方─H・ガーフィンケルとの接点を手がかりに─
(1)ドロシー・スミスの社会学の輪郭
(2)「事実報告(factual account)」をめぐる問いの所在

コメンテータ:中村和生(清泉女子大学ほか)・池谷のぞみ(東洋大学)
担当世話人:椎野信雄(文教大学)・池谷のぞみ

テーマ:
 EMとは何なのかという大問題に関連して、昨年12月の定例研究会大会の書評セッションの中で編者や筆者のコメントとして強調されていたことなのですが、EMとはガーフィンケルやサックスに常にさかのぼるべきものだという考え方があります。私もEMとはガーフィンケルのアイデアをどう理解してゆくかの研究領域だと思っています。その点において、何度も社会学とEMあるいはガーフィンケルの関係は再検討すべき問題だと思われます。
 この点について、博士論文『ドロシー・スミスの「フェミニスト社会学」―性別の捉え方・論じ方の形式をめぐって―』を昨年、物された上谷さんに話してもらうことを企画しました。D.スミスにとって社会学とは何であり、そしてガーフィンケルとは何だったのかを、スミスのフェミニスト社会学を理解する上でのポイントを指摘していただく中で、EMの或る理解を提示してもらいたいと考えております。(文責:椎野信雄)

発表者のメッセージ:
 この報告では、カナダの社会学者ドロシー・スミスの社会学に対する、一つの読み方を試みたい。スミスは、1970年代以降、「フェミニスト社会学」「制度のエスノグラフィー(institutional ethnography)」「知識の社会的組織化(social organization of knowledge)」などを主題に社会学的探究を展開してきた。その業績は、少なくとも北米の社会学においては、高く評価されているといってよい。
 その一方、これらの主題となる概念を含め、スミスの議論において用いられるキーワードのそれぞれには、独自の意味が込められている。それゆえスミスの議論の読解は一筋縄ではいかないものがある。たとえば、スミスは自らの社会学的探究を、「女性の観点(women's standpoint)」からの社会学をめざすものだと主張する。しかし、この「女性の観点」ということで何を言わんとしているのかということ自体が、論争の争点になっているのである。
 この報告では、スミスが多様なキーワードを考案しながらいかなる社会学的な問題を設定しようとしているのか、彼女の議論の根本的な視点の置き方とはいかなるものか、ということについて考えたい。そしてその際に、一つの有効な補助線となるのが、スミスとガーフィンケルの接点を探ることであると考える。スミスはガーフィンケルのエスノメソドロジーから、社会的事実の成り立ちについてどのような発想を得たのか、本報告ではこの点に焦点を合わせてみたい。

 ドロシー・スミス(Dorothy E. Smith)は、UK出身、アメリカ西海岸(UC Berkeley)で大学院教育を受け、カナダに職を得た社会学者であり、北米社会学界ではフェミニストとして非常に有名な人です(現在トロント大学名誉教授)。日本語になっている文章は2本あって、ひとつはエスノメソドロジー系列のもの、もうひとつはフェミニズム系列のものです。来日したこともあります。
「Kは精神病だ―事実報告のアナトミー」、『エスノメソドロジー―社会学的思考の解体』(せりか書房、1987年)所収
「女性のための社会学」、『性のプリズム―解放された知を求めて』(勁草書房、1987年)所収
 調べてみると、今年新しい本が出る予定。
(forthcoming)_Institutional Ethnography : A Sociology for People._ Altamira Press
 以下、新しい順に単著を掲げます。
(1998) _Writing the Social : Critique, Theory and Investigations._ Univ of Toronto Press.
(1990) _The Conceptual Practices of Power : A Feminist Sociology of Knowledge._ Northeastern Univ Press.
(1990) _Texts, Facts, and Femininity : Exploring the Relations of Ruling._ Routledge.
(1987) _The Everyday World As Problematic : A Feminist Sociology._ Northeastern Univ. Press

[04.11.30]
(終了しました)研究会・講演会情報;12月15日から18日にかけて、神戸大学COEプログラムの研究教育の一環として行われる4つの研究会、講演会のお知らせを樫村志郎@神戸大学さんよりいただきました。
 (1)大学院生むけ入門研究会
 (2)専門研究者むけの研究会
 (3)学部生または未経験者むけの入門講義
 (4)社会学・言語学などの隣接分野または理論社会学的含意の検討のための研究会
 いずれも、ヨーク大学社会学部のPaul Drew教授をお迎えして行われるものです。人数把握などのため、参加ご希望の方は、どの研究会かを特定のうえ、事前にご一報ください。
 追加、変更などは、CDAMS(神戸大学「市場化社会の法動態学」研究センター)ウェブサイト(http://www.cdams.kobe-u.ac.jp/)をご覧ください。
(1) ========================================
基礎研究分野 講演会「会話分析ー進んだ入門―」

講師:Paul Drew (ヨーク大学教授)
コーディネータ:樫村志郎(神戸大学大学院法学研究科教授・CDAMSセンター員)
日時:12月15日(水) 午後3時30分から午後5時
場所:神戸大学六甲台キャンパス アカデミア館502号室
使用言語:英語(日本語への通訳をつけます)

講演会趣旨:
 本研究・講演会は、社会科学分野の大学院学生を主要な聴衆として考え、社会観察と分析のため様々な分野で利用され始めている新しい方法としての「会話分析」について、研究者むけの入門を行うものです。一定の教材(英文論文一編程度)を事前に配布し、それをもとにしてディスカッションを行うことを主要な目的としています。「会話分析」の内容については、一応知識があるが、会話分析の方法論や研究実践についてより深く知りたい人にとって有益なものにしたいと思います。

講師紹介:
 Paul Drew教授は、北アイルランド紛争とその「血の日曜日」事件調査委員会への関心から、言語による出来事の対立する説明の構築、非難表現、裁判場面での社会的相互行為への博士学位研究を行い、それをまとめた『法廷の秩序―司法場面における発言の組織ー Order in Court:The Organisation of Verbal Interaction in Judicial Settings』(M.Atkinsonと共著, Macmillan,1979年)で、社会制度的場面の「会話分析」の開拓者となりました。その後、医療場面、緊急援助場面、法廷場面を中心に、社会学的含意の高い会話分析研究を継続されています。この分野の代表的論文集である、『仕事の語りー制度的場面の相互行為ー Talk at Work:Interaction in Institutional Settings』(J.Heritageと共編、Cambridge University Press)の編集も行っており、多くの著名な研究を発表されています。自己紹介については、http://www.york.ac.uk/depts/soci/s_drew.htmlにあります。

参考文献:
 会話分析についての日本語での紹介は、好井裕明=山田富秋=西阪仰編『会話分析への招待』(世界思想社、1999年)、樫村志郎「会話分析の課題と方法」『実験社会心理学研究』36巻1号1996年(本論文は、樫村に請求していただければ、お送りします)があります。

*神戸大学関係者にかぎらず、以上の趣旨に適合するかぎり、誰でも参加できます。ただし、教材の準備のため、事前登録をお願いします.参加希望者は、CDAMS(cdams@kobe-u.ac.jp)またはコーディネータ(skashimu@kobe-u.ac.jp)まで電子メールにてご連絡ください。

(2) ========================================
基礎研究分野 ワークショップ「言語と社会の規範性―データ分析を中心として―」

コーディネータ:樫村志郎(神戸大学大学院法学研究科教授・CDAMSセンター員)
報告者:Paul Drew (ヨーク大学教授)、西阪仰(明治学院大学教授)、樫村志郎
日時:12月16日(木) 午前11時から正午、午後1時30分〜午後5時
場所:神戸大学六甲台キャンパス アカデミア館501号室
使用言語:英語(日本語への通訳をつけます)

研究会趣旨:
 1970年代に研究方法として大枠が確立された「会話分析 Conversation Analysis」は、社会観察のための新たな視角およびその綿密な分析方法が、社会学、言語学だけでなく、法、医療、教育などにかかわる専門研究分野でも注目を集めています。「会話録音」を分析者の耳で、集団的に、聞くことを基本とする、会話分析の方法とそれにもとづく理論は、実際のデータを提示しての分析を通じて、はじめて理解できる部分が多いと思われます。また、日本語による会話分析実践の蓄積、会話分析研究における声調(prosody)の重要性の自覚、による研究の精密化が進むとともに、英語を中心とする欧米言語で発達してきた会話分析の理論と技法が、文法や社会の構造が異なる日本その他の非西欧社会でどのように妥当性をもつかなどの問題も自覚されてきています。本研究会では、日本語データを英文で提示し、英語データと日本語データの録音レベルでの比較もするなどの試みも行いつつ、会話分析の実践研究レベルで、言語と規範の動態的研究の一つの可能性を探索してみたいと思っています。

報告者紹介:
 Paul Drew教授については、(1)の講師紹介をごらんください。
 西阪仰教授は、『心と行為―エスノメソドロジーの視点ー』(岩波書店、2001年)、『会話分析への招待』(好井裕明・山田富秋と共編、世界思想社、1999年)などで、ヴィトゲンシュタイン哲学を基礎として、会話分析・エスノメソドロジーの研究を行ってきた、主導的研究者の一人です。9月14日の研究会でも興味深いご報告をいただきました。
 樫村(『「もめごと」の法社会学』弘文堂、1997年)は、弁護士と司法書士の行う法律相談の録音をデータとして、相談の構築、法的もめごと提示や助言提供の言語的組織の研究を進めてきました。本ワークショップでは、そのデータを提示する予定です。

参考文献:
 会話分析についての日本語での紹介は、『会話分析への招待』(上記(1))、山崎敬一編『実践エスノメソドロジー研究入門』(有斐閣、2004年)、樫村「会話分析の課題と方法」『実験社会心理学研究』36巻1号1996年(本論文は、樫村に請求していただければ、お送りします)があります。

*誰でも参加できます。ただし、人数の把握などのため、参加される方は事前に申し込みをお願いします。希望者は、CDAMS(cdams@kobe-u.ac.jp)またはコーディネータ(skashimu@kobe-u.ac.jp)まで電子メールにてご連絡ください。

(3) ========================================
基礎研究分野 講演会「会話分析ーはじめての入門ー」

講師:Paul Drew (ヨーク大学教授)
コーディネータ:樫村志郎(神戸大学大学院法学研究科教授・CDAMSセンター員)
日時:12月17日(金) 午後3時30分から午後5時
場所:神戸大学六甲台キャンパス アカデミア館501号室
使用言語:英語(日本語への通訳をつけます)

講演会趣旨:
 社会科学分野の学部学生、その他の会話分析への入門者を主要な聴衆として考え、社会観察と分析のため様々な分野で利用され始めている新しい方法としての「会話分析」について、初心者むけの入門を行うものです。「会話分析」の内容について学習中の人(樫村担当講義「応用法社会学」を受講中の学部生、大学院生、ゼミ共同研究や自主研究で会話分析を用いようとしている学生など)、その他会話分析を知ることに興味のある初心者向けの講演会としたいと思っています。

講師紹介:(1)の講師紹介をごらんください。

参考文献:
 会話分析についての日本語での紹介は、好井裕明=山田富秋=西阪仰編『会話分析への招待』(世界思想社、1999年)、樫村志郎「会話分析の課題と方法」『実験社会心理学研究』36巻1号1996年(本論文は、樫村に請求していただければ、お送りします)があります。

*神戸大学関係者にかぎらず、以上の趣旨に適合するかぎり、誰でも参加できます。ただし、神戸大学以外の方で、参加希望者は、CDAMS(cdams@kobe-u.ac.jp)またはコーディネータ(skashimu@kobe-u.ac.jp)まで電子メールにてご一報ください。

(4) ========================================
基礎研究分野 研究会「会話分析と社会学理論」

報告者:Paul Drew (ヨーク大学教授)
コーディネータ:油井清光(神戸大学文学部教授・CDAMSセンター員)
日時:12月18日(土) 午後1時30分から午後4時
場所:神戸大学百年記念館(2階)会議室A
使用言語:英語(日本語への通訳をつけます)

研究会趣旨:
 1970年代に研究方法として大枠が確立された「会話分析 Conversation Analysis」は、社会観察のための新たな視角およびその綿密な分析方法が、社会学、言語学だけでなく、法、医療、教育などにかかわる専門研究分野でも注目を集めています。会話分析は、発話が社会的相互行為であることを前提とし、発話形式や発話内容がいかなる制約のもとで選択され、相互行為を構築していくかを綿密に分析する手法であり、行為、相互行為、規範についての新たな視角を切り開くという理論的含意もあります。また、日本語による会話分析実践の蓄積、会話分析研究における声調(prosody)の重要性の自覚、による研究の精密化が進むとともに、英語を中心とする欧米言語で発達してきた会話分析の理論と技法が、文法や社会の構造が異なる日本その他の非西欧社会でどのように妥当性をもつかなどの問題も自覚されてきています。本研究会では、会話分析を社会学理論と社会学方法論の論議の中に位置づけつつその含意を検討したいと思っています。

報告者紹介:(1)の講師紹介をご覧ください。

*誰でも参加できます。ただし、人数の把握のため、参加希望者は、CDAMS(cdams@kobe-u.ac.jp)まで、事前に電子メールにてご連絡ください。
========================================

[04.11.18]
(終了しました)研究集会の情報です。下で紹介している今年度のemca研大会について、シンポジウムのアブストラクトが入ってきましたので掲示します。
シンポジウムテーマ;「会話分析の基本概念を再検討する」

シンポジウムの狙い;1980年代に、日本において最初の会話分析の論文が発表されてから、早くも20年が経過しようとしています。この間、会話分析の論文・著書は着実に増え、会話分析は日本において定着してきたようにも思われます。しかしながら、その内実はかなり寂しいものだという見方もできます。理由は二つあります。
 第一に、英語圏において定式化された会話分析の基本的な概念装置が、日本語の会話分析を行ううえでどこまで、どのように適用できるのかどうか。このことが、ほとんど正面から論じられてこなかったということがあります。このような基本的な問題が手つかずのままであれば、地に足のついた研究蓄積とはいえないように思われます。
 第二に、これは英語圏においても大勢として当てはまりますが、今日、会話分析の論文で使われている概念装置は、そのほとんどが80年代半ばまでに会話分析の第一世代によって定式化されたものです。その後、20年あまり、会話分析にはほとんど新たな概念装置が付け加わっていません。その理由のひとつは、基本的な概念装置を再検討するより、それを幅広く「応用」することに関心が集中してきたことです。
 このシンポジウムでは、このような現状を認識しつつ前に進むための足がかりとして、さしあたり、会話の「順番交替組織turn-taking organization」「修復組織repair organization」に焦点を当て、上記二つの問題を念頭においた発表と討論を行いたいと思います。

アブストラクト
発表1:「他者開始自己修復組織と日本語文法」   鈴木佳奈(エセックス大学)
 英語の会話分析の分野では、これまでに、様々なタイプの「修復 (repair)」が存在すること、およびそれらがどう組織されているのかについて、一連の報告がなされている(Schegloff, Jefferson, and Sacks 1977; Schegloff 1979, 1992, 1997,2000)。一方、日本語における修復の会話分析的研究はまだ始まったばかりであり、「修復組織は英語と日本語とで同じなのか」、あるいは、「修復に関する英語の概念は日本語会話に応用可能なのか」などの、本シンポジウムのテーマに関わる根本的な問いに答えを出す段階には至っていないように思われる。本発表では、問題源の次のターンで開始される他者開始自己修復 (other-initiated self-repair) という特定のタイプの修復を取り上げ、上記の問いに部分的な解答を示すことを試みる。まず、事例の分析を通して導き出された日本語における他者開始自己修復組織と、英語における同種の修復組織とを比較する。特に、次話者修復誘発手段 (next turn repair initiators)として用いられる日本語の語彙や表現を検討することで、修復組織の少なくとも一部は使用言語に依存していることを論じる。さらに、他者開始自己修復が日本語文法項目から発生する諸問題に対処している事例を提示し、日本語文法の実用性がバックアップ装置としての修復組織の存在に逆に依存していることをも示す。

発表2:「連鎖及び参与構造から見た話者交替システム」  高梨克也(情報通信研究機構)
 発表者の関心はコミュニケーションにおける「多様だがそれぞれに一理ある」反応の数々とこうした反応を通じて表示される参与者のさまざまな立場について体系的に記述・説明することにある.具体的には,まず会話分析における「連鎖」の概念は隣接ペアのような「義務的」な連鎖だけでなく,他のさまざまな「義務的ではないが可能」な応答をも含むものであると考えられるが,後者について,それがどのような理由で適切な連鎖といえるのかという条件をより明確化していく必要があると思われる.また,ある話し手がターンを取得することの適切性についても,同様に多様な理由ないし「権限」が考えられるが,こうした分類が整備されているとは言いがたい.そこで,本発表では,1.現行発話と次発話の間の連鎖関係の適切性,及び,2.現行話者と次話者の発話者としての権限,という二点を重視しつつ,話者交替システム中のターン割り当て部および話者交替規則中の「1a. 現行話者による次話者選択(他選)」「1b. 次話者による自己選択(自選)」について再検討することを試みる.


[04.10.26]
●新刊書の情報です。3冊。
 まずは、先月出たもの。ハードカバーもペーパー版も、お高い!

Gene H. Lerner ed. (2004)
_Conversation Analysis; Studies from the First Generation._
John Benjamins Pub Co.


ペーパー版の価格は、8331円。ハードカバーだと17430円。でも、ペーパー版を出してくれただけでありがたいことだという感じ。それだけ、「会話分析」への関心や需要があるということでしょうね。以下は内容目次。編者のジーン・ラーナーさんは、シェグロフのところで育った人(現在UCSBに所属。サンタ・バーバリアンだ)。昨年9月に来日して、CAに関するインテンシヴなセミナーを開催した。どういうふうにインテンシヴだったかというと、宿題が課されて、それをやってこなきゃいけないってふうでした。

Introductory remarks   Gene H. Lerner
Glossary of transcript symbols with an introduction  Gail Jefferson

Part I: Taking turns speaking
An initial characterization of the organization of speaker turn-taking in conversation  Harvey Sacks
A sketch of some orderly aspects of overlap in natural conversation  Gail Jefferson

Part II: Implementing actions
Answering the phone  Emanuel A. Schegloff
Investigating reported absences: 'Neutrally' catching the truants  Anita Pomerantz
At first I thought: A normalizing device for extraordinary events  Gail Jefferson

Part III: Sequencing actions
Pre-announcement sequences in conversation  Alene Kiku Terasaki
Collaborative turn sequences  Gene H. Lerner
The amplitude shift mechanism in conversational closing sequences  Jo Ann Goldberg

Index


 CAの教科書として使えるデザインになっているように思えますが、上でリンクした版元のページでは、長いあいだ "mimeo classics" であったものが活字になって喜ばしいという推薦の辞がならんでます(ダグ・メイナードに、ポール・ドルーに、ジョン・ヘリテジに、サンドラ・トンプスン)。"Studies from the First Generation" というサブタイトルの意味はそれですね。


 そんなふうに眺めていたら、他にも今年出た関連書を見つけた。bookじゃなくて、journal なんだけど(Volume 37, Number 2)。こっちは5000円しません。

Gene H. Lerner ed. (2004)
_Research on Language and Social Interaction: Special Issue: Practices of Turn Construction in Conversation._
Lawrence Erlbaum Assoc Inc


 内容は以下のとおり。探すのに手間取ってしまった。

G.H. Lerner Introduction.
E.A. Schegloff On Dispensability.
G.H. Lerner On the Place of Linguistic Resources in the Organization of Talk-in-Interaction: Grammer as Action in Prompting a Speaker to Elaborate.
G. Raymond Prompting Action: The Stand-Alone "So" in Ordinary Conversation.
M.J. Turk Using and in Conversational Interaction.



 もう1冊は翻訳。EMCAに関連しているとは言えないかもしれないけれども(未読だからです)、あげとこう。

ホルスタイン&グブリアム『アクティヴ・インタビュー―相互行為としての社会調査』せりか書房

 著者たちは、「社会構築主義」の立場による家族研究である『家族とは何か―その言説と現実』(新曜社、1997年、amazonでも知られているでしょう。この本が出たんで、家族社会学者たちは「社会構築主義ってあるらしい…」とざわめきたったのですよね。その流れは現在どうなってるのかよく知りませんが。
 他方この本の原著は、1995年の刊行で、Sageの「質的調査法シリーズ」の中の1冊。かなり薄い本なので、翻訳版も2000円台と、お安くできたのでしょう。関連しているように見える本に(またまた未読なので)、桜井厚『インタビューの社会学―ライフストーリーの聞き方』(せりか書房、2002年、amazonがあるのだけど、比較して読んでみるといいかもしれないですね。同じような装丁にしているなあ。


[04.09.29]
●出版予定の本の紹介です。アン・ロールズが、かねてより取り組んできたデュルケム研究を刊行します。
Anne Warfield Rawls (forthcoming)
_Epistemology and Practice: Durkheim's The Elementary Forms of Religious Life._ Cambridge University Press


 ハードカバー。アマゾンのページはタイトルを誤っていますね。

 ロールズは、BUで学位を取得し、現在はBently College の associate professor of sociology。ガーフィンケルのEthnomethodology's Program の編者。版元であるCambridge Univ. Pr. のページには、内容紹介と目次が出てます。それによると、この本は、デュルケムの『宗教生活の原初形態』の新しい読みを提出するもの。その読みの革新は、privileging social practice over beliefs and ideas によって得られるという。EMプラクシオロジーによる読み直しということでしょうね。

 ちなみに、ロールズは、Harvard Gazette でのこんな記事にも登場してます。


[04.09.12]
●出版予定の本の紹介です。なんと、アマゾンで、ガーフィンケルの新刊書の予約が可能になっていました。タイトルは以下のとおり。
_Seeing Sociologically : The Routine Ground Of Social Action._


サブタイトルは、Studies に収められている論文タイトルにちょいと似ています("Studies of the routine grounds of everyday activities")。著者には、Anne Rawls と Charles Lemart が加わっていますが、ロールズは、Ethnomethodology's Program の編者であり、チャールズ・レマートは、シリーズの編者として、序文("The Pleasure of Garfinkel's Indexical Ways")を載せている人です。刊行は12月30日となってます。「今年中には出したいと思っています」というメッセージでしょうか…。

[04.09.02]
(終了しました)emca研の今年度研究集会のお知らせです。
2004年度・エスノメソドロジー・会話分析研究会大会


日時:12月11日(土)、12日(日)
場所:関西セミナーハウス http://www.academy-kansai.com/top.htm

日程:
12月11日(土)
14:30〜17:30 シンポジウム「会話分析の基本概念を再検討する」
司会:串田秀也(大阪教育大学)
発表者:高梨克也(情報通信研究機構 けいはんな情報通信融合研究センター)
    (仮)「順番交替組織について」
   :鈴木佳奈(英国・エセックス大学) (仮)「修復組織について」
コメンテータ:高木智世(筑波大学)

17:30〜18:30 総会

12月12日(日)
09:00〜12:00 書評セッション:山崎敬一編(2004)『実践エスノメソドロジー入門』有斐閣
司会:山田富秋(京都精華大学)、樫田美雄(徳島大学)
評者:高田明(京都大学アフリカ地域研究資料センター)、田中耕一(関西学院大学社会学部)

参加費:1000円(emca研会員は無料)


【04.08.15】
(終了しました)埼玉大学で行われる国際シンポジウムのお知らせです。著名な研究者の一人であるクリスチャン・ヒース氏が来日します。英文も含めたお知らせ(PDFファイル)が、埼玉大学のウェブサイトにアップロードされています。
インタラクション環境の創造
Creating Ecologies for Interaction
―テクノロジー・社会・未来―


 埼玉大学文化科学研究科とロンドン大学キングスカレッジ校マネッジメントセンターとの学術交流を記念して国際シンポジウムを開催します。
 この学術交流および国際共同研究(大和日英基金重点助成)は、エスノメソドロジー(人々の方法論の研究)にインスパイアーされた社会科学者と情報工学者が共同して、ミュージアムやオークションを中心に現代のテクノロジー社会における人間のコミュニケーションや相互行為を分析するとともに、モバイルロボットや遠隔会議システムなどの新しい協同作業支援システムをデザインしようとするものです。なお、日本側の発表は日本語で、ロンドン大学キングスカレッジの発表は英語(通訳付き)で行います。

開催日:2004年09月08日(水) 12:30〜
会場:埼玉大学21世紀総合研究機構棟 大会議室(7F)

パネリスト:
Prof. Christian Heath(ロンドン大学キングスカレッジ校)
Dr. Dirk vom Lehn(ロンドン大学キングスカレッジ校)
Dr. Paul Luff(ロンドン大学キングスカレッジ校)
山崎敬一(埼玉大学教養学部)
葛岡英明(筑波大学機能工学系)
山崎晶子(公立はこだて未来大学)

資料代:2500円(学生および後援組織の関係者は2000円)
資料として研究論文集およびビデオデータ付きのCDRを配布します。

助成:大和日英基金重点助成
主催:埼玉大学
後援:筑波大学大学院システム情報工学研究科、公立はこだて未来大学、情報処理学会グループウェアとネットワークサービス研究会、エスノメソドロジー・会話分析研究会

「埼玉大学文化科学研究科ロンドン大学キングスカレッジマネージメントセンター学術交流記念シンポジウム」問い合わせ先:
 埼玉大学教養学部 山崎敬一(yamakei@post.saitama-u.ac.jp)

 プログラムの一部です(PDFファイルより)。会場は、入ってすぐの建物だな。
12:30 - 12:35 Greeting

Part 1. Technology and Social Interaction
12:35 - 13:40
Christian Heath (King's College London)
Figuring objects: the interactional constitution of value at auction

13:40 - 14:45
Paul Luff (King's College London)
Shadow Hands: configuring actions through complex distributed technologies

14:45 - 15:25
Keiichi Yamazaki and Hideaki Kuzuoka (University of Tsukuba)
Mediating dual ecologies

15:25 - 15:35 break

Part 2. Museum Studies
15:35 - 16:15
Akiko Yamazaki (Future University-Hakodate) and Yasuko Suga (Tsuda College)
Projectability in Visitor's Behaviour in Museums

16:15 - 17:00
Christian Heath and Dirk vom Lehn (King's College London)
Configuring Perspective: the interactional production of the ways of seeing exhibits

 Christian Heath と Paul Luff共著の本があります。今回の催しと関連しているはずです。

Christian Heath and Paul Luff(2000) Technology in Action.
Cambridge Univ. Press.


 Amazonでは online download できるようですが、この本の中の1章を(レジュメを切って)読んだことがあります。ロイター通信社のオフィスでの記者たちの活動を扱ったもので、なかなかおもしろかったです。タイトルの "Animating Texts" というのが、カッコいいんですよね。レジュメもあるんだし、もう一回読み直しておこうか。

 来日する方たちの所属先であるロンドン大学キングスカレッジマネージメントセンターには、WITグループというのがあり、彼らの活動拠点になっている。Prof. Christian Heath は Director。他のお二人は Principal Researchersで、Dr. Paul Luff は Reader in Organisations and Technology でもある。Dr. Dirk vom Lehn は Research Fellowとなっている。最近 Dr. になったようですね。


【04.08.08】
(終了しました)研究集会のお知らせです。
 来月初旬に東京大学(本郷キャンパス)を会場として開かれる、第14回社会言語科学会大会において、CAに関するワークショップが開催されます(企画責任者:高木智世@筑波大学さん)。また、その前日に、このワークショップと関連するデータセッションが行われる予定です(9/3)。下記にそのお知らせの一部を転載します(データセッションについては、リンク先ページを参照してください)。
第14回社会言語科学会大会ワークショップ「日本語会話におけるターンの構築」


日時:2004年09月05日(日) 15:00〜18:00
会場:東京大学本郷キャンパス(法文2号館1番大教室)
参加費:(会員1000円、非会員3000円。詳しくは学会ウェブサイトを参照)

話題提供者(予定):
1.Eric Hauser(電気通信大学): Some Aspects of Turn-Constructional Units in (English) Conversation
2.高木智世(筑波大学): 日本語の言語構造とTCU
3.西阪 仰(明治学院大学): 日本語会話におけるTCUの単位タイプと機会場(TOP)
4.Dominic Berducci(富山県立大学): Some Comments on TCUs

企画概要:
 このワークショップでは、研究者が「単語」や「文」といった言語構造によって定義する単位ではなく、会話者自身が会話という相互行為を組織する際に用いる発話の構成単位について、具体的なデータに基づいて議論したい。まず、H. Sacks、E.A. Schegloff、G. Jeffersonらによって展開された「会話分析(Conversation Analysis)」において重要な概念である「順番構成単位(Turn Constructional Unit = TCU)」について(主に英語の会話分析に基づいて)解明されてきたことを英語の電話会話データを参照しながら整理する。その上で、日本語会話のデータを用いて、日本語会話の分析概念としてのTCUを検討する。そもそもSacks、Schegloff、JeffersonらのいうTCUとは何かという問題を始点としつつ、日本語会話特有のTCUにまつわる諸事象に具体的検討を加えることを通して、日本語会話における順番の組織の実体に迫りたい。英語会話の分析においてその強力さが証明されているTCUを、真に日本語会話の分析に有用な道具として彫琢することは、今後の日本語の会話分析研究の発展には不可欠である。このワークショップは、ささやかながらその端緒を開く試みでもある。


[04.06.05]
●新刊の紹介です。
山崎敬一編(2004)『実践エスノメソドロジー入門』有斐閣

 今週はじめくらいから書店に並んでいます。少しずつ読んでいます。アマゾンでは在庫僅少の模様。bk1はだいじょうぶみたいですね。「ハイブリッド・スタディ」でよかったんじゃないかと思うけどねえ。CD-ROMつきですが、マカーには半端にしか利用できません。

 内容目次と執筆者(敬称略)

第1部 基礎編
 1 エスノメソドロジーの発見 浜日出夫
 2 エスノメソドロジーの方法(1) 山崎敬一
 3 エスノメソドロジーの方法(2) 水川喜文・池谷のぞみ

第2部 実践編
 4 エスノメソドロジーとフィールドワーク 池谷のぞみ
 5 調査の準備とビデオデータの分析法 山崎晶子・菅靖子・葛岡英明
 6 会話分析の方法と会話データの記述法 田中博子
 7 調査実習 樫田美雄

第3部 展開編
 テーマセッション1 制度と会話 岡田光弘
 8 電話の会話分析 西阪仰
 9 子どもの分析 山田富秋
 10 法現象の分析 樫村志郎
 テーマセッション2 実践の中の視覚 浦野茂
 11 メディア分析 是永論
 12 博物館研究 山崎・菅靖子
 13 病院組織のフィールドワーク 池谷・岡田・藤守義光
 テーマセッション3 認知科学・情報科学とエスノメソドロジー 水川喜文
 14 学校・教育工学・CSCL 加藤浩・鈴木栄幸
 15 コンピュータ支援の協同作業研究 葛岡・山崎晶子・山崎敬一

[04.04.26]
●新刊の紹介です。
山崎敬一(2004)『社会理論としてのエスノメソドロジー』ハーベスト社


 日本を代表するエスノメソドロジスト、エスノメソドロジー研究者の一人である山崎敬一氏がこれまで書いてきた論文を一書にまとめたもの。目次は以下の通りだが、第1部のエスノメソドロジーに対する理論社会学的検討は、2年前の授業で読んでみた(「主体主義の彼方に」)。最近はあまりそうした論文が書かれることがなくなってきたので、よかろうと思って。2章や3章の論文が書かれていた頃、「エスノメソドロジーは何でないかを書くのはわりに易しいけど、エスノメソドロジーは何か、ということを直接書くのは容易じゃないんだよね」と話したのを覚えている。まだ、"respecification"という言い方が広まっていない頃だった。
序論

第1部 エスノメソドロジーと社会理論
 第1章 常識的カテゴリーと科学的カテゴリー―シュッツとエスノメソドロジー
 第2章 主体主義の彼方に―エスノメソドロジーとは何か
 第3章 ガーフィンケルとエスノメソドロジー的関心―リフレクシビティーと社会的組織化の問題
 第4章 社会的行為における意味と規則

第2部 成員のカテゴリー化の問題
 第5章 人間のカテゴリー化について―「私」の社会的コンテクスト
 第6章 場面の組織化とカテゴリーの組織化―差別のエスノメソドロジー
 第7章 性別カテゴリーのエスノメソドロジー―虚構としての男と女
 第8章 言語と社会関係のダイナミックス

補論1 いかにして理解できるのか―「意味と社会システム」再考
補論2 「知識と理解」

[04.03.14]
BIG NEWS?:初期の重要な資料である「パーデュー・シンポジウム」記録(the Purdue Symposium on Ethnomethodology)がまるごとダウンロードできるようになっていました!!!!
AIEM/CA Links@Australian Institute for Ethnomethodology and Conversation Analysis

上記リンク先ページの上から4番目にリンクされています。非常に大きなファイルで(18.8MB)、ダウンロードには、10分ほどかかりました(大きいのは、画像だからでしょう。アプリケーション上でテキストを選択できないので、ちょっと不便だけど)。「パーデュー・シンポジウム」というのは、例えば、『エスノメソドロジー―社会学的思考の解体』(せりか書房)に収められた「エスノメソドロジー命名の由来」の出所です。
シェスラー ハル、まずはじめに、このことばの由来について少し話してくれないか。
ガーフィンケル ああ、まずそれから始めよう。(p.11)
というのではじまるものですね(ちなみに、「このことば」というのは、「エスノメソドロジー」のこと)。

【04.03.07】
●コリーグの新作です。読んでいたらコメントしたくなった…。
前田泰樹(2003)「『傾聴』活動の論理文法について―電話相談看護のロール・プレイの相互行為分析」
『保健医療社会学論集』第14巻1号、pp.13-26

 副題にある通り、「電話相談看護のロール・プレイ」を取り上げてある。この論文は、(ロール・プレイであるけれど)電話での相談を、どのように相談として成し遂げていくかを、「傾聴」と言われている活動を中心に、詳細にみていくものなのですけれど、おそらく主要には、turn by turn analysis を書きつけていないので、あんまりCA的にみえないんです私には(自覚的なの?)。電話相談は、ある電話番号が、相談を受け付けてくれるものとしてすでに知られていて、したがってそこにかかってくる電話は、「相談」だと予期してよいものなのだけれども(つまり、電話に出る相手は、「助言をしてくれる人」であり、電話をかける人は、「相談事をもち、助言を求めている人」であることが、予期できるのだけれども)、そこでのやりとりは、(なんというか)「自動的」には行われないのです。電話のかけ手と受け手は、そのやり取りの中で、「相談」であることを「成し遂げて」いかなくてはならないし、実際にそうしている。そこをみていきましょう、というものなんだけれど、書き方が、不満。
 例えばですね、「先行研究によると、『あの』はかくかくしかじかなことを示すように使いうるのだけれど、ここでの『あの』はそういう『あの』なのです」。そういう書き方をしたのではCA(とくにエスノメソドロジーに方向づけられたCA)にはならないんじゃないかと思うんですね。そこでの「あの」がその「あの」であるのは、どのようにしてであるのか?―それを書くのでないとなあ。
 タイトルに含まれている「傾聴」についても多少問題がありはしないか(これも書き方の問題。あんまり上手じゃないんじゃないかということ。でもemcaのやることは「例証」なので、上手/下手というのは、小さくないことだと思います)。「傾聴」は、論文冒頭で「『促し』『繰り返し』『明確化』などの具体的技法」のことだと言い換えられており(それは、医療従事者による対人援助技法において言われていることとして取り出されている)、トランスクリプトの中にも(当然)それは登場し、検討されるのだけれど、それが登場するときには、「傾聴」という用語は消えてるのですよね。だから、粗忽に読むと「あれ、傾聴はどこいったの?」と思ってしまう(最終節に「概念連関としての『傾聴』活動の論理文法についての若干のみとり」として再登場しますが)。援助技法テキストの中に、実際のやりとり(のモデル)はなかったのかな。それを示しておくと、話が(読み手に)入りやすかったと思うのだけれど。
 等々、他にもいくつかコメントしたくなることが入ってる労作です。「こうした論理文法上の制約に則ってなされる実践の詳細をみることなしに、抽象的な理念の教育や発話表現上の技法の教育に終始することは、十分に現状が明らかにされないまま、電話相談を行う個人に対して過重な責任を負わせることになりかねない」(p.24)という示唆は大いに意味のあるものだと思うので、だからこそ、もう少し「なるほど」と思わせる書き方になっていたらと残念な気がするのでした。
 電話のかけ手と受け手は、通話の最初の部分で、相互にその同定をするのだけれど、そのことについて、シェグロフは、かつてとても長い文章を書きました("Identification and Recognition in Telephone Conversation Openings"Schegloff Publications Archiveからダウンロードできます)。ジョージ・サーサスの『会話分析の手法』(マルジュ社、1998年)では、第3章「相互行為のなかの連鎖と構造」冒頭に登場しています。電話での会話は、視覚情報がないぶん、「CAを教える」のにはいいんですよね(でも、電話の会話というのは、実は非常に難しいものなんだということも、言っておきたいです。これができちゃうっていうのは、すごいことなんですよ。わかりにくいでしょうが。これを実感したのは、わたしの小さな姪とのやりとりで。小さな子どもたちには、電話はとても難しいのです。また、子どもの言語習得について確信したのも、彼女とのやりとりで。あるとき、電話で「ぱっくす。おそいよ〜」と彼女は言ったんですが、これがどういう行為であったのかがわかった気がしたときには、非常に感動したものでした。これは、「おばちゃんへの非難」なのです。こないだ、「皆川さん、そういうことはウェブに書かないの?」と言われたので、書いときます。これじゃあ何のことやらわからないと思うんだけど、まあ憶測水準だしね。でも、小さな人たちは、実にたくさんのことを教えてくれます。むか〜し、会ったときに、開口一番「このクソババア!」と言った男の子がいたんだけど、サックスが「子どものお話の分析可能性」のなかで、「子どもは自分から発言する権利を奪われている」と書いてるのを思い出したことだったし)
 電話の会話の開始が他のタイプの開始と異なるのは、電話の掛け手は、掛ける相手はわかっているものの実際に電話に出る人物が誰なのかわからない場合があるという点である。受け手は誰が電話を掛けているのかわからないのだから、両者が互いに相手を特定し、のみならず相手が自分を認識できるような手段を作り出すという課題をもつことになる。シェグロフは450例以上の電話の会話を収集し、これらの開始連鎖となる最初の数交代を調べている。シェグロフは受け手の第一ターンが「もしもし」となっている例に焦点をあて、受け手が企業や事業体の名前を告げるような、事業タイプの応答を全て除外している。後者のタイプの電話では、当事者の認識は重要な問題ではなく、おそらく受け手が第一ターンで自ら名乗りをあげるだろう(例えば「アメリカン・エアラインです」)。p.65
この「傾聴」論文は、シェグロフが除外した「事業タイプ」を扱っています。そしてそこでは、事業タイプでない電話会話の開始部とは少し違ったかたちではあれ、やはり identification and recognition が、通話者たちのタスクとなっているのです(もちろんシェグロフは、「事業タイプではこのタスクは存在しない」ゆえに除外して考えたわけではないと思います)。そのことは書かれているんだけど、どのようにして、そうなっているの?

【04.02.26】
●新刊書(翻訳)の紹介です。
D.メイナード(2003/2004)『医療現場の会話分析―悪いニュースをどう伝えるか』(樫田美雄・岡田光弘訳)勁草書房、2900円+税

出版社の紹介ページ


Douglas W. Maynard (2003) _Bad News, Good News: Conversational Order in Everyday Talk and Clinical Settings._ Univ. of Chicago Press

 原著のタイトルと、抄訳本(エピローグつき全8章のうち、「紙幅の関係で、医療を中心とする臨床の場を扱った部分を中心に訳出し、2、3、5、6章の本文、および7、8章の全文が割愛されている」p.181)のタイトルは少なからず異なっている。原著の副題は、「日常会話と診療場面の会話秩序」であるが、抄訳本ではその一方のみが取り上げられているし、原著タイトルが述べているのは「悪いニュース」と「よいニュース」の両方である。訳者によれば、これには意図がある。「すなわち、今回は、医療現場をはじめとするニュース伝達の実践者・教育者の方に多く読んで頂きたいとおもって訳出部分を選択している。この意図がかなえられることを願っている」(p.187)のだそうだ。「いま対人サービス業化がすすみ、主としてその変化に対応するための、対人コミュニケーション能力を充実させるための教育改革が大規模になされつつある医療・看護系の領域に対しては、その応用価値がすこぶる高いと思われた」(p.185)ゆえの大胆な編集。
 確かに、メイナード自身、「エピローグにおいて私は、臨床医が診断の表明というものを進めるにあたって、『質問する』ことによって、『ニュースを語る』ということを、ひとつのベーシックなやり方として推薦しておいた」(p.v)と言っているのだから(そうそう、ここで思い浮かべればよい「悪いニュース」の例は、「ガンの告知」である)、その応用的価値は、すこぶるつきで高いようにみえるであろう。訳者自身、「もっとも手早く『効果的なニュースの伝え方』を理解し身につけるためになら、『エピローグ』だけを読んですませることさえ、許されると思う」(p.186)と述べている。
 そして、著者の推奨する「『質問する』ことによって、『ニュースを語る』」というやり方(PDS)は、例えばこんな「質問」からはじまるものだ。「このあいだここへお見えになった時、そう、3、4ヶ月前でしたか、その頃から、この子の成長で何かお気づきになったこと、ありますか?」(p.174) 自分の子どもに(なんらかの)トラブルがあることをすでに知っている両親は(だから彼らは、病院にやってきている)、この問いに対して同調的な回答をしうる(ここは強調しておきたいが、同調的でない回答も、当然可能である。このことは、下で述べることと関わっている)。もしもそのような同調的応答が来た場合、その応答は、bad news 受け入れの準備となりうるわけなのである(であるならば、医師による最初の「質問」は、たしかに「質問」であるのだが、その「質問」を通じて、「質問ではないこと」すなわち、「bad news 伝達の予告あるいは、伝達の許諾要請」を実行している。これが、CAによる、turn by turn analysisの要諦であるはずだ)。なんと簡単なことだろうか、と思う人も多いだろう。
 しかし、話はそう簡単ではないのだ。訳者は続けてこのように述べている。
但し、ニュースを伝えるという現象が、そこに参与するすべてのメンバーによって作り上げられている相互行為的現象であって、適切な振る舞い方は場面ごとに異なってくる、ということをも読者は同時に理解すべきである。すなわち、「どんな場合でも首尾良くニュースを送り届けることを保証する絶対確実な方法などない」(「エピローグ」)。簡便なニュースの伝え方のハウツー本を期待した読者は裏切られることになるが、この点こそメイナード博士が本書全体を通じて主張していることなのである。p.186
 ここを読んだ読者は、ことに「対人コミュニケーション能力を充実させるための教育改革が大規模になされつつある医療・看護系」の人々は、どのようにお思いになるであろうか。その応用的価値は(すこぶるつきで)「高い」のか、そうでないのか。それを決めるのは、結局のところ、著者でも訳者でもなく、実際に、「(悪い)ニュース伝達」に(職業的に)携わる人々であろうと私は考えるのだけれど(個人的には、それを「応用」と呼ぶかどうかはともかくとして、「絶対確実な方法などない」と言われても、「でも意義があると思えますよ」と思ってくださる方が多ければ、現場も教育も、よいものになっているだろうな、という気はする)。
 ついでに(?)、社会学(特に、「構築主義」と言われているアプローチ)を勉強している人に向けては、以下の2ケ所を紹介したい。最初のものは、バーガー&ルックマンの有名な著書 _Social Construction of Reality._ への態度である。
簡明に言って、相互行為的に組織された行動のエピソードとしての、悪いニュースやよいニュースは、現実の社会的構成を表してなどいない。ニュースのエピソード(一編の話)は、体現化された社会的な実践の実質的な使用を構成要素としており、この社会的な実践は、まさにその諸実践の秩序性の中においてのみ存在するところの、日常生活の構造的な特徴ないしは構築物なのである。いいかえれば、この本は、日常生活の外側にある現実の社会的構成についての本ではなく、日常生活の中で、日常生活として行われる真の社会的な実践についての本なのである。pp.11-12

6)社会学には、「現実の社会的構築」を研究する二つの主要な尊ぶべき伝統がある。そのどちらもが社会科学に長い間受け入れられ、貢献してきた。伝統の1つはSpecterとKitsuse(1977)がオリジナルな所説を述べている。 (略) 伝統のもう一つは科学知識の社会学であり、「構築主義」として知られている。 (略) 私の研究は社会構築主義者のアプローチとは異なる。社会構築主義者は、歴史のプロセス、政治的な活動、また特定の状況範囲を越えるその他の活動の研究において、実際の行動のディスプレイの詳細からそれていく傾向がある。私も人間の行為の一般的特性に関わってはいるが、私はそのような(一般的)特性がリアルタイムから引き出され、リアルタイムにリンクされうると確信している。リアルタイム、つまり本来の場所で具現化されたトークや社会的行為の実践にである。p.199-200
「『科学知識の社会学』における『構築主義』」なんて、知ってる社会学徒、どれくらいいるのだろう?―なんて、思っちゃうけれどね。


[04.02.24]
●新作の紹介です。
西阪仰(2004)「会話分析」『アエラムック 新版 社会学がわかる』朝日新聞社、pp.95-99


【04.01.26】
(終了しました)研究集会の案内です。
国際会議「A・シュッツとパートナーたち」

日時:2004年4月3〜6日
場所:早稲田大学

Alfred Schutz and his Intellectual Partners@早稲田大学シュッツ文庫

問い合わせ先:早稲田大学シュッツ文庫

上記サイトによれば、5日の SessionVII (16:30-) が Sociology となっており、「シュッツとパーソンズ」を油井清光@神戸大学、「シュッツとガーフィンケル(1)」をジョージ・サーサス、「シュッツとガーフィンケル(2)」を浜日出夫@慶応大学の3氏が話すことになっています。
【04.02.16】
(終了しました)研究集会の案内です。
Dr. Douglas W. Maynard 講演会

各地の講演日程
東京と京都で全5回の講演会が開催されますが、以下では、そのうちの2回の詳細を紹介します。


・EMCA研研究例会

演題:「エスノメソドロジー、会話分析、そして社会学的未来―自閉症からの教訓」(通訳つき、タイトルは変更になっています)

日時:2004年2月29日(日)
   午後1時開場、午後1時半開演(16時終了予定)

場所:東洋大学白山キャンパス 5B12教室(5号館地下1階)
   (正門から入って正面の建物:都民生協、三徳の前を順に通り過ぎた先が正門)
   白山駅(都営三田線)ならびに本駒込駅(南北線)から徒歩5分

参加費:EMCA会員は無料。 非会員は1,000円。

参考文献:D. Maynard (2003) _Bad News, Good News._ University of Chicago Press.
樫田美雄・岡田光弘訳『医療場面の会話分析−悪いニュースをどう伝えるか−』勁草書房、2,900円+税(2004年2月25日刊行予定、抄訳)

・成城講演会・セミナー

日時:2004年03月01日(月)午後1時半〜3時(講演会)と3時半〜5時半(セミナー)

場所:成城大学7号館733教室
成城大学は,小田急線成城学園前駅から徒歩3分です。正門から入ると,正面に時計のついた2号館が見えます。7号館は,向かって右側の建物です。会場は3階となります。

参加費:なし 予約不要

[講演会]「エスノメソドロジーから見たアメリカにおける電話サーヴェイ調査」
Telephone Survey Research in the USA from and Ethnomethodological Perspective

概要:著名なエスノメソドロジストであり、会話分析の研究家であるメイナード博士は、電話によるサーヴェイ調査について研究されています。その結果は,博士が代表となって編集された下記論文集(Maynard et al. 2002)にいくつも載録されています。この研究を中心に、電話サーヴェイのやりとりとその制度的な背景とについてお話していただきます。

参考文献:Maynard, Douglas W., Houtkoop-Steenstra, Hanneke, Schaeffer, Nora Cate, & van der Zouwen, Johannes, eds. 2002. Standardization and tacit knowledge:Interaction and practice in the survey interview. Wiley.

司会と通訳:南 保輔  指定討論者:なし

[セミナー]「電話サーヴェイ調査の会話分析」
Conversation analysis of telephone survey research

概要:講演会に引き続き,研究者や大学院生を対象とするセミナーを行います。実際にデータを見せていただきながら議論を進めます。まずは,上記書物に10章として載録されている論文において分析されているインタビューのビデオを見ながらこれについて議論いたします。これは,インタビュー調査に応じてもらいたいという最初の電話では協力を拒否された家庭への再電話で,説得して協力に応じてもらえるようになったというものです。これが,どのようなやりとりでなされているかが示されます。
 つぎに,現在博士が進めておられる,サーヴェイ調査における認知についての「データセッション」を予定しています。これは,やりとりのトランスクリプトと録音データを使っての分析にオーディエンスも参加するというものです。
 このような形式のため,とくに通訳は予定していません。英語でのディスカッションとなります。

★南さんからのアナウンス:また,セミナーにおいて博士が紹介してくださる研究の論文(参考文献の10章)と参考文献の導入の章(1章)の読書ノート(レジメ)があります。DCM研究会で配布したものです。ご希望の方には,使用などについて同意いただいたうえでpdfファイルをお送りさせていただきます。南まで連絡ください(yminami@seijo.ac.jp)。

【04.01.26】
●新刊書です。
Kwang-ki Kim (2002)
_Order and Agency in Modernity : Talcott Parsons, Erving Goffman, and Harold Garfinkel._
SUNY Press.
 出版年は2002年だから、もう新刊書とは言えないけど、知ってる人が少ないような気もするので、アップしておきましょう。最近注文しました。パーソンズとゴフマンとガーフィンケルの社会学を「近代」に準拠して読んでみよう、という試み。どこの人かと思ったら、BUだった。99年に出した学位論文に書き足したもののようで、emcaというより、現象学/シュッツのほうに寄ってる人みたいですが。

【03.10.07】

●新作の紹介です。
山崎敬一・山崎晶子「『見ること』の身体的社会的組織化―大人のいる場でのこども同士の争い」、
佐藤慶幸他編(2003)『市民社会と批判的公共性』文眞堂、pp.163-181
【02.07.18】

●ガーフィンケルの新著が(ついに)刊行されました。
Harold Garfinkel & Anne Rawls eds. _Ethnomethodology's Program: Working Out Durkheim's Aphorism_. Rowman & Littlefield Publishing(Textbook Binding. ISBN:0742516423).
Ethnomethodology's Program というのは、ガーフィンケルの久々の論文のタイトルなんだけれども(Garfinkel[1996], Social Psychology Quarterly, 59(1): 5-21)、この本は、この論文も収められた collected papers のようですね。共同で編者をしている Anne Rawls は、この本を作るためにガーフィンケルと8年作業したそうです(スゴイことだ…)。ちなみに、副題にある「デュルケムのアフォリズム」というのは、"The objective reality of social facts is sociology's fundamental principle." なんだけれども、これは例えば、『方法の規準』の「第2版への序文」において「筆者の基本的原理である社会的事実の客観的実在性」(翻訳 p.44)というふうに登場します。エスノメソドロジーのプログラムは、このアフォリズムをもじるとできあがるんだ、とガーフィンケルは言うのです。どういうふうにもじるかは、『スタディズ』の「はしがき」(p. vii)をご覧ください。
 とりあえずコンテンツくらいは紹介しておきましょう。この本は、チャールズ・レマート(共著だけれど『ミシェル・フーコー―社会理論と侵犯の営み』という翻訳が、日本エディタースクール出版部から出ています。まだ切れてはいないようだ)が編者をしている Legacies of Social Thought っていうシリーズの1冊なのだけど、この編者序文って、皮肉ですかね。Part II では、写真だの図だのが使われています。例の「逆さ眼鏡」も出てくるなあ。
Contents

The Pleasure of Garfinkel's Indexical Ways, by Charles Lemert

Editer's Introduction

Author's Introduction

Author's Acknowledgements as an Autobiographical Account

Part I: What Is Ethnomethodology?

1 The Central Claims of Ethnomethodology

2 EM Studies and Their Formal Analytic Alternates

3 Rendering Theorems

4 Tutorial Problems

5 Ethnomethodological Policies and Methods

Part II: Instructed Action

6 Instructions and Instructed Actions

7 A Study of the Work of Teaching Undergraduate Chemistry in Lecture Format

8 Autochthonous Order Properties of Formal Queues

9 An Ethnomethodological Study of the Work of Galileo's Inclined Plane Demonstration of the Real Motion of Free Falling Bodies

Index

About the Author and Editor

■集積  上記の情報をカテゴリ別に格納してあるページです。

  books

  papers

  events


■EMCAに関連するサイト or ページ
エスノメソドロジーのページ@YAHOO! Japan

西阪仰研究室@明治学院大学社会学部
『相互行為分析という視点』(金子書房)を刊行され、ジェフ・クルター『心の社会的構成』(新曜社)の翻訳もなさっている西阪さんのサイトです。明治学院大学での講義、ゼミのシラバスや、ジェフ・クルターの著作リスト、ご自身で主宰されている研究会(Meeting of Mind & Activity)の開催予定などが、掲載されています。画伯の絵も楽しめます。マウスで描いたんだって。すご〜い。

ETHNO/CA NEWS
Paul ten Haveさんが運営なさっているサイト。情報満載です。オランダにあります。

IIEMCA
The International Institute for Ethnomethodology and Conversation Analysis
1989年に設立された北米、ヨーロッパ、UKの人間と研究機関からなるコンソーシアムで、emca研究のために活動しています。昨年マンチェスター大学で4年ぶり(1997年に東京で開いて以来)に学術会議が開かれたのを機により組織化を図って再出発することになりました。Steering Commitee の顔ぶれを見ると(日本からは池谷@東洋大学さん)、どういうメンバーがemcaを引っ張っているかわかってよろしいでしょう。

Conversation Analysis Net

HUMAN STUDIES
エスノメソドロジー関係の論文がよく掲載される研究誌です。最新号では、早稲田大学で開催された、EMCAに関する国際学術会議で発表された論文が掲載されています。

Emanuel A. Schegloff's home page
「会話分析」の對斗である Emanuel Schegloff さんのサイトです。これまでの著作がPDFファイルでダウンロードできるようになっています(Schegloff Publications Archive)!

Charles Goodwin@UCLA
このすばらしいチャック先生のサイトでも、著作がPDFでダウンロードできるようになっています。1981年の _Conversational Organization: Interaction Between Speakers and Hearers_ が全文入手できるのはうれしいことですね。

Wes Sharrock@Manchester Univ.


■エスノメソドロジーを理解するために
 ここでは、私が授業でemcaの話をするとき(ほとんどそんな機会はありませんが)に使う話や、colleagueのあいだで流通している話など、emcaに関心を持たれた方には意味があると思うことを、少しずつ提供します(ただし、それぞれの論点については、「論文にはしていない」ものもありますので、そのことについては、「そういうことなのね」と把握していただきたいと思います)。私自身のemcaに関する理解は、私の書いた論文を見ていただければと思います。

日本におけるエスノメソドロジーの展開についての皆川の文章
 『現代社会理論研究』誌の「特集 エスノメソドロジーの可能性と展開」に掲載した「シンポジウム:エスノメソドロジーの可能性と展開」のために私が書いたイントロダクションです。このシンポジウムは、1993年に「エスノメソドロジー・会話分析研究会」の旗揚げとして開いたもので、海外滞在者を除き、ほとんどすべての日本のエスノメソドロジストが参加しています(と思います)。もうあまり人の目にふれることもなくなっているかなあと思うのですが、苦労して編集した私としてはとてもとても残念なので、全文を載せました。シンポジウム本体を読みたいと思われた方は、ぜひとも、現代社会理論研究会にコンタクトをとってください。購入できます。事務局は、名古屋大学文学部社会学研究室(西原)気付(〒464-8601 名古屋市千種区不老町名古屋大学文学部(西原)気付 現代社会理論研究会事務局 mailto: n47178a@nucc.cc.nagoya-u.ac.jp)、です。連絡は、なるべく郵便かemailでお願いしたいとのことです。

リンチの図式
 エスノメソドロジーは、エスノメソドロジストだと自認する人の間でも、そうではない他の社会学者の間でも(いや、こっちはそうじゃないかもしれませんが)、その理解、イメージは多様です(日本国内においても、海外においても)。マイク・リンチさんは、疑いなく現在のエスノメソドロジーをリードするひとりですが、1993年に刊行した、Scientific Practice and Ordinary Action において、エスノメソドロジー研究を、ある統一的な視点からまとめています(「こういうののことを、ポルナーは、"settling down" って言ったんだよ!」という非難の声あり)。その理解を図示してみます(浜日出夫さんに感謝)。
■皆川による、emca(相互行為分析)に関する日本語文献(恣意的)年表(含む翻訳) 作りはじめました
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